Project Fx 2.0

怪文書と備忘録を書きます

『名探偵モンク』新型コロナの特別ミニエピソードの超訳

新作ミニエピソードの詳細は以下の通り。ネットを徘徊中にこの記事をたまたま見つけ、懐かしくなったので衝動的に訳した。

dramanavi.net

そして動画はこちら(ミニエピソード本編は1:40辺りから)。番組公式の英語字幕も用意されているので、ぜひ本編もご覧ください。

www.youtube.com

モンク宅でのシーンは全てトニー=シャルーブの自宅で撮影されているようで、テレビシリーズでお馴染みだったアパートメントの一室は登場しません。

最初と最後の番組司会者のコメントは訳してません。適当な上に日本語吹き替え版っぽくなるよう訳したこともあって、一部原語に忠実でない部分もあります。意味の理解にGoogle先生が必要そうな部分は適宜脚注を入れています。明らかな誤りを見つけた場合はコメントで厳しくご指摘ください。


タイトル:Mr.Monk shelters IN PLACE (拙訳:"うちで踊ろう!?")

TV音声:...複数の専門家は、新型コロナウイルスが変異しより一層感染が拡大しているとして警鐘を鳴らしています。ソーシャル・ディスタンスの確保、消毒の徹底、そして強い衛生意識に気を配り、最大限の注意を払うことが求められています...

モンク:(絶望したかのような顔をしてTV画面を眺めている)

モンク:(歌いながら洗面所で手を洗う) 99 bottles of beer on the wall, 99 bottles of beer. Take one down and pass it around, 98 bottles...*1 (途中で鏡の汚れを拭く) ...100 bottles of beer on the wall, 100 bottles of beer. Take one down and pass it around, 99 bottles of beer on the wall... *2

(場面転換。両手両足にゴム手袋をはめた上でさらに靴下を履こうとするモンク。再び場面転換、食洗機の皿を入れる場所に大量の果物をシンメトリーに並べ、満足そうなモンク。)

モンク:(場面転換。手を洗いながら) 35 bottles of beer on the wall, 35 bottles of beer...

(場面転換。玄関外に置かれた宅配物を高枝バサミで開封するモンク。)

TV音声:...専門家は、流行の第二波がさらなる感染者・死者を生む可能性があると予測しています... (モンク、TVを横目にトングで持った郵便物を電子レンジに入れ、加熱し始める)

モンク:(場面転換。泣きながら手を洗って) ...16 bottles of beer...on the wall, 16...bottles of beer.... Take one down...and pass it around...15...bottles of beer on the wall... (鏡の汚れを拭く)

(場面転換。モンク、ナタリー、ストットルマイヤー、ディッシャーの4人がビデオ通話をしている)

トットルマイヤー:モンク、認めたくはないがお前は正しかったよ。現に、俺たちゃみんなバイキンに怯えてる訳だからな。誰も人の体に触れようとせん。

ディッシャー:その通り。人類みなモンクって感じだ。

モンク:最悪でしょ?

ナタリー:モンクさん、髪伸びてるわよ。

モンク:行きつけの床屋が休みなんだ。それで、でも誰にでも怖いものはあるでしょ?

トットルマイヤー:モンク、なんでそんな後ろに立ってる?

モンク:6フィート*3離れてます。知ってます?これが「ソーシャル・ディスタンス」ですよ。

ナタリー:モンクさん、これパソコンよ?遠ざからなくていいの。

モンク:うーん...

ナタリー:大丈夫よ、私が保証するから。

モンク:(カメラに近づいて) ああ、あっ、あああ、(また遠ざかって) いや、良い、良い!このままで良いんだ。

トットルマイヤー:モンク、俺達はお前が心配なんだ。その、すごく繊細だったお前が、この状況に耐えられるのかと思ってな。

ディッシャー:そう、僕らはモンクの無事を確かめたいんだよ。

モンク:それはどうも、でもご心配なく。それは昔の私だ。私は成長したんです。...寒気がするな。ちょっと... (両腕を何度もこすり合わせながら) ちょっとここが汚れてるみたいだ。

ディッシャー:大丈夫?

モンク:ナタリー、ティ、ティッシュティッシュティッシュ

ナタリー:無理よモンクさん、それは出来ない。

モンク:言い訳しないで!今すぐティッシュが要るの!

ナタリー:そこのテーブルの上にあるみたいだけど?

モンク:(ナタリーの言葉を聞きティッシュの箱を掴んで) ご心配なく!見つけたから!テーブルの上にあった。(腕を拭きながら) 今のうちに訊いておくけど、余分な消毒液って持ってない?残り1ダースしかなくて。

ディッシャー:買い占めたのか!ずるいぞ!

モンク:違う違う違う、ランディ、20年前のストックは買い占めとは言わないよ。ああ、ええ、それで、あとお金が底を尽きかけてまして。毎日服を焼却処分すると高くつくんです。警部、調子はどうですか?大丈夫ですか?

トットルマイヤー:おかげさまで、夢を見てる気分だ。

モンク:それは何よりです。

トットルマイヤー:良い夢じゃない、スティーブン=キングが見てそうな悪夢だ。

モンク:ナタリー、君は大丈夫?

ナタリー:あなたも知ってる通り私も先月具合が悪くなって、検査したら陽性だったの。つまり抗体を持ってるってことだから献血してきたわ。

ディッシャー:僕は精液を提供してきたよ。

ナタリー:精液?なんで?

ディッシャー:記事を読み間違えちゃって。

モンク:ランディ、君まだニュージャージーのサミット*4に住んでるんだよね?

ディッシャー:その通り、警察署長さ。この頃ちょっと大変でね。みんなマスクをしててさ、誤認逮捕が続出してるんだ。ハックション!!

モンク:(腕で顔を守りながらパソコンの前から逃げていく)

ディッシャー:失敬。おい、モンク!モンク!モンク!これはただのアレルギーだよ!モンク、今のはアレルギーだ。僕は病気なんかじゃないぞ。

トットルマイヤー:画面越しだぞ?

モンク:(画面の前を逃げ惑っている)

ディッシャー:ねえ、病気じゃないんだってば。ただのアレルギーだって。

トットルマイヤー:ディッシャーは東海岸にいるんだぞ!?

モンク:(長い棒で遠くからノートパソコンの画面を閉じてしまう)

トットルマイヤー:おいモンク!

ナタリー:じゃあねモンクさん、さようなら。

(終劇)


トニー=シャルーブのビデオメッセージ:

こんにちは、トニー=シャルーブです。皆さんが注意を払い、感染の対策をして過ごされていることを願います。今の我々はまさに「人類みなモンク」です。先月、妻のブルックと私はコロナに感染し、数週間非常に大変な状況にありましたが、さらにずっと大変な状況に置かれている方々が実にたくさんおられます。(唐突にポットが揺れ、屋外から拍手が聞こえてきて) あっ、7時になりました。窓を開けて、我らがヒーローの医療従事者の方々に感謝を表する時間です。行きましょう。...ご安全に、ご安康に(Stay safe, stay sane)。


演者4人が全員無事だったようで何よりでした。 特にナタリー役のトレイラー=ハワードは『名探偵モンク』以降目立った出演作がないようで、このミニエピソードが久しぶりのメディア露出であるらしいです。

ディッシャーが「精液」と口にした時にめちゃくちゃ嫌そうな顔をするモンクが面白かったです。

*1:これは"99 Bottles of Beer"という北米の数え歌。最初は99本あった壁のビールがだんだん減っていくという内容の歌で、0本になったところでようやく終わる。普通の子供なら1から100まで数えながら手を洗うところだが、モンクはこのクソ長い歌を全部歌いきるまで100回手を洗い続けるのである

*2:リセットして最初から洗い直している。キリのいい100本に変えて歌っていたことがここでわかる

*3:約2m

*4:Summit; ニュージャージー州中西部の地名。ディッシャーはTVシリーズ最終回でここに栄転(?)した